Planetaria

A PC screen is shining in a dark room.
The ever-silent spaces of the East End are displayed on it.
The fictional still water surface created by the half mirror seems to gently fluctuate.
Is this landscape in which even time fluctuates uncertainly just the sparkling of pixels? How high is the resolution of the water ripple? Will this cramped aquarium of light extend far beyond the earth, and even far beyond time and space?
My lasting thoughts at the water’s edge pass through my mind.
The screen continues to pass through the world that never changes.

穏やかな波がゆらぐ静かな風景。
この風景はかつて私が撮影した写真をPCスクリーンに表示させ、それからスクリーンの手前に置いたカメラでスクリーン上の画像を撮影したものです。
私は森の中で揺れる木漏れ日や、寺社仏閣にこだまするさざめき、ときには仕事終りの最終電車のなかでふと目を閉じたとき、こういった場特有のリズムが心地よく体中に響いて、不意に目に見えないものについてぼんやりと考えてしまうことがあります。将来の自分のこととか、遠く離れた場所に住む大切な人のこと、まだ訪れた事のない異国の地。限りなく現実寄りの非現実な事柄がさざ波のように頭の中に浮かんでは消えていきます。
私はこのような感覚を、PCスクリーンとその手前のカメラとの間にハーフミラーを使って架空の水面をつくることで表現しました。たった数十センチ先から放たれたはずのピクセル光が、真夜中に眺める水槽の輝きのようにゆらぎ、一日の終りを静かにしめくくることができる自分だけの安らぎの風景に変わるのです。
このショートトリップは私たちの現実の側に寄り添っていて欲しいので、私はそれがつくりものだとわかってしまうディティールが完全に失われてしまわなように、つまり浅いフォーカスがスクリーン上に無数に輝くピクセルから完全に外れてしまわないようにしないといけませんでした。
なぜなら、私はたとえあちら側にどれほど魅惑的なものがあったとしても、たいせつで重大なもの、決して失ってはならないものは、いつもこちら側にあると信じているからです。